オギェッセイ#03 田舎の方が狂ってた
2022-05-30
山田と別れた後、出会い系で地元福島の人と何人か会った。
山田と付き合う前にも、地元で何人かと出会い系を通じて会っては居たが、車に乗せられてハッテン公園に連れて行かれ、自分のシートを倒して「セックスしないと友達もできないよ」と言ってきたチェックのネルシャツ サラサラ坊っちゃんカット文デブおじさんや、七夕祭りの日に待ち合わせをして「え?ホテルいかないの?」と聞いて来た体育教師。自分が性欲旺盛だったら、簡単に身体を差し出してたんだろうけど、身体は簡単に差し出すもんじゃないと当時から思って居たので、”強い気持ち 強いNO"で事なきを得ていた。
しかし、一度知ってしまった恋愛特有の浮遊感を望んでしまうもの。
画像交換して合う約束をしたのが、加藤(仮名)だった。
休みの日に相手の車でドライブして食事してセックスをする。といったデートを重ねて居た。
モーテルで初めてのエアシューターを体験したり、ジャスコ(イオン)の広大な駐車場でカーセックスしたりと、色んな経験をした。思い出が下半身しかないけど。
9.11の緊急速報は、相手の実家の二階で相手に跨っている時にうっすら眺めて居た。
今でいうロシアとウクライナの連日のニュースのように、現実感がない遠い国のフィクションのようだった。
その後、相手から毛じらみを移されて浮気を疑い激怒したままお別れ。18歳で初めて性病にかかる。そんな下半身の思い出は要らなかった。
短い恋愛だった。恋愛というより覚えたての猿の衝動に近かった。唾がずっと臭い人だった。
加藤と別れた後、バイトの給料で1~2ヶ月に1度は東京へ遊びに出ていた。
山田に紹介してもらって初めて行ったゲイバーに一人で通うようになり、そこで知り合った人の家に泊めて貰って身体を差し出したり、そういうお誘いがない時はハッテン場に泊まってなりゆきに任せて見たり、クラブで声をかけたりかけられたり。
時系列は定かではないけど、クラブでナンパした年上の人に気に入ってもらえ、その日の朝に高円寺の彼の家へ泊めて貰った時の事をよく思い出す。
共同玄関共同トイレ、鍵は南京錠の和室の一間。絵に書いたような四畳半。
壁には写真の勉強をしているという彼の撮影した白黒写真が沢山貼ってあった。
天井のシミはなかったけど、なんとなく漠然と(ディス! イズ! トーーーーキョーーーーーーーーーー!!!!)と思った。
名前も思い出せないけど、元気でやってますか。あの時の人。写真家になれてるかな。